【糖尿病の現状と細胞治療の可能性】
日本国内の糖尿病患者数は、生活習慣と社会環境の変化に伴って急速に増加しています。糖尿病を放置すると、網膜症、腎症、神経障害などの合併症を引き起こし、末期には失明や、透析治療が必要になる場合があります。糖尿病に対しても幹細胞での治療を行う研究が進められており、造血幹細胞治療を受けた糖尿病患者において、インスリン投与が不要になったとの報告や、糖尿病に伴う神経痛や腎不全といった合併症も改善されたという報告もあります。
【現在、治療や動物による研究が行われている機関】
◆ 京都大学 ◆ 札幌医科大学(骨髄由来) ◆ 京都大学再生医学研究所(骨髄由来)
◆ 順天堂大学 ◆ ハンガリー国立医療センター(ハンガリー)
【京都大学の研究成果】
胸腺の形成不全による自己免疫疾患を発症しているマウスに胸腺髄質上皮細胞の幹細胞を移植することにより、ほぼ生涯にわたり正常な髄質上皮細胞が供給され続け、自己免疫疾患を完全に抑えることができることが確認されました。また、T細胞側に異常があり、T細胞産生ができないマウスの胸腺上皮幹細胞の活性は、歳をとっても高く維持されていることも明らかになりました。このことにより、自己免疫疾患などが原因とされるⅠ型糖尿病やリウマチなどの治療法の発見につながる可能性が見えてきています。
【ハンガリー国立医療センターの研究成果】
Ⅰ型糖尿病モデルマウスを使用した動物実験で、骨髄細胞と間葉系幹細胞とを同時移植することにより、膵臓のβ細胞の再生を促す機構があることが確認されました。
※ 幹細胞に関する様々な情報は、ヒト幹細胞情報化推進事業(SKIP:https://www.skip.med.keio.ac.jp/)や 日本再生医療学会雑誌、各大学や施設の論文及び記事などを参照しております。