【美容医療の現状と細胞治療の可能性】
脂肪組織由来幹細胞を抽出し、顔に注入するエイジングケアが近年注目を集めています。顔全体のしわ、こけ、くぼみなどが全体的に改善され、丸みのあるラインが作られるため、フェイスリフトのように顔全体の印象が改善されます。仕上がりや感触も自然で、自身の脂肪を用いるためアレルギー反応の心配がなく安全性にも大変優れています。また、脂肪と幹細胞を混合して注入する豊胸術も自然に仕上がり、持続効果があることから美容目的で実施されています。
【現在、治療や動物による研究が行われている機関】
◆ 東京大学 ◆ 大阪大学
【東京大学の症例】
脂肪組織および脂肪組織由来幹細胞を使った組織増大治療を、約60 例の顔面のたるみ、若返り希望患者、約40 例の顔面変性疾患患者(陥凹変形の治療)を含む約500 例に施行し、良好な長期成績がみられたと報告されています。研究チームは、患者本人の脂肪組織および脂肪組織由来幹細胞を極微量ずつ顔面に移植を行った後、安静の下 9 ヶ月以上の経過観察を行いました。術後は皮下出血、腫脹がみられましたが1~2週間で消退が確認され、顔面変性疾患による脂肪萎縮症に対しては約 3 ヵ月で萎縮が終わり安定する傾向がみられました。
また、生着する脂肪は個人差がみられました。臨床研究において、一定の安全性と有効性が確認されており、有効性についてはさらに今後の定量的評価や長期的経過観察などによる評価が検討されています。
※ 幹細胞に関する様々な情報は、ヒト幹細胞情報化推進事業(SKIP:https://www.skip.med.keio.ac.jp/)や 日本再生医療学会雑誌、各大学や施設の論文及び記事などを参照しております。