幹細胞とは
『①様々な細胞に分化する能力(多分化能)』
『②細胞分裂を経ても、自分と同じ多分化能を持つ細胞を生み出せる能力(自己複製能)』
を併せ持つ特殊な細胞です。この2つの能力により、発生や組織の再生などを担っています。 発生における細胞系譜の幹(stem)になることから幹細胞(stem cell)と名付けられました。
幹細胞の種類
① 成体幹細胞
体内の各組織に存在する幹細胞のことで、造血幹細胞・神経幹細胞・皮膚幹細胞などがあり、限定された種類の細胞にしか分化しないものや、広範囲の細胞に分化するものなど様々ある。
② ES細胞
【胚性幹細胞 (Embryonic stem cells)】
受精卵からつくられるES細胞は、体を構成するあらゆる細胞への分化能がある。
③ iPS細胞
【人工多能性幹細胞 (Induced pluripotent stem cells)】
体細胞へ4つの遺伝子を導入することによってリプログラミングを行い、人工的に作成された幹細胞で、ES細胞のように様々な細胞に分化する事ができる。
現在、臨床応用が最も進められているのは ①の『成体幹細胞』となってます。
理由としては、②のES細胞は他人(非自己)の受精卵を破壊して採取・作製されるという点から、倫理的問題と拒絶反応の危険性という二つの問題点があり、医療への実用化に至っていません。
また、③のiPS細胞は遺伝子導入等によって引き起こされる細胞の腫瘍化の可能性について指摘されており、近年の研究で安全性に関する課題は克服されつつありますが、まだ実際の治療に使用されるまでには至っていません。